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少し前、夫が実家に帰ったとき、両親の年金やお金のことが話題になりました。不動産の名義や貯蓄状況など、家族が把握していないことが思いのほか多く、知らないうちに問題が積み重なっていることに気づいたのです。
それがきっかけで、自分たち夫婦のことも話し合うようになりました。そのときに思ったのが、「エンディングノートがあれば、こういう情報を事前に家族と共有できるな」ということでした。
実は私自身も、まだ書けていません。でも書こうと思っているからこそ、何を書けばいいか一緒に考えてみました。大学病院の医療相談員として、終活に関わる多くの家族と向き合ってきた経験もふまえながら、お伝えします。
エンディングノートって何を書くもの?
エンディングノートとは、自分の意思・希望・情報を家族に伝えるために書き残すノートのことです。書式に決まりはなく、市販品を使っても、自分でノートに書いても構いません。
よく「遺言書と何が違うの?」と聞かれますが、大きな違いは法的効力です。
- 遺言書——法的効力がある。財産の相続に関しては遺言書の内容が優先される。作成には厳格なルールがあり、専門家のサポートが必要なことも多い
- エンディングノート——法的効力はない。ただし書き方のルールがなく、気軽に自由に書ける
「遺言書は法律、エンディングノートは気持ちを伝えるもの」というイメージが近いかもしれません。
医療相談員として実感するのは、本人が急に倒れたとき、家族が「何も分からない」ことで困るケースが非常に多いということです。口座はどこの銀行か、保険に入っているのか、かかりつけ医はどこか——こうした情報が一冊にまとまっているだけで、家族の負担は全然違います。
💡 エンディングノートがあると助かる場面
・急な入院・手術のとき、かかりつけ医・服薬情報・保険を家族がすぐ確認できる
・本人が意思を伝えられない状態になったとき、延命治療の希望が分かる
・亡くなった後、口座・不動産・連絡先を家族が把握できている
・葬儀や供養の希望が分かり、家族が迷わずに済む
終活の全体像は親の終活チェックリスト、家族への話の切り出し方は親との「もしもの話」どう切り出す?もあわせてご覧ください。
エンディングノートに書く6つの内容
全部一度に書こうとしなくて大丈夫です。できるところから、少しずつ埋めていけば十分です。
①自分の基本情報
家族が最も困るのが「どこに何があるか分からない」という状態です。銀行口座・証券口座・生命保険・医療保険の情報、不動産の名義やローン情報、重要書類の保管場所——これらをまとめておくだけで、家族の手間が大きく減ります。
②医療・介護の希望
延命治療についての希望、介護が必要になったときに自宅を希望するか施設を希望するか、かかりつけ医や持病・服薬の情報を書いておきましょう。
「人生の最終段階の医療について、元気なうちに自分の希望を考えておくこと」をACP(アドバンス・ケア・プランニング)といいます。医療の場でも大切にされている考え方で、エンディングノートはその第一歩になります。
③財産・相続について
誰に何を残したいか、相続で揉めないための希望を書いておくことができます。ただし財産の分け方に法的効力を持たせたい場合は、遺言書として残すほうがより確実です。エンディングノートはあくまで「気持ちの記録」として活用しましょう。
④葬儀・お墓について
葬儀の規模や形式(家族葬・一般葬など)、お墓や供養の希望を書いておくと、残された家族が迷わずに済みます。お墓については、最近は墓じまいを検討される方も増えています。墓じまい完全ガイドもあわせて参考にしてみてください。
⑤家族・友人へのメッセージ
感謝の気持ち、伝えたいこと、大切にしてきたこと——これが一番書きにくくて、でも一番喜ばれる項目です。うまく書こうとしなくていいです。箇条書きでも、一行でも、気持ちが伝わればそれで十分です。
⑥ペットのこと
ペットを飼っている方は、自分が動けなくなったときの引き取りの希望や、日々の世話の方法を書いておきましょう。ペットの世話は意外と見落とされがちなポイントです。
📋 書く内容チェックリスト
□ ①基本情報(口座・保険・不動産・重要書類の場所)
□ ②医療・介護の希望(延命・かかりつけ医・服薬情報)
□ ③財産・相続の希望
□ ④葬儀・お墓の希望
□ ⑤家族・友人へのメッセージ
□ ⑥ペットのこと(該当する方)
全部埋めなくて大丈夫。まず①だけでも書いておくと、家族への大きな安心になります。
書き始めるコツ:完璧を目指さない
「全部ちゃんと書かなければ」と思うと、なかなか始められません。でも、空欄があってもいいんです。鉛筆で書いてOK。後から何度でも書き直せます。
まず「基本情報(口座・保険の場所)」だけでも書いてみてください。それだけで、家族にとっては十分に意味のある記録になります。
「書き終えてから渡す」ではなく、「書きながら家族と話し合う」のもいい方法です。夫婦で一緒に書き始めることで、普段はなかなかできない「もしもの話」が自然にできるようになります。私自身もそうしようと思っています。
💡 今日から始める3ステップ
Step1:ノートを一冊用意する(市販品・100均・ダウンロード版でもOK)
Step2:まず自分の名前・口座情報だけ書いてみる
Step3:家族に「書き始めたよ」と伝える
「伝える」だけで、家族は安心します。
市販のエンディングノートの選び方
エンディングノートは書店・100円ショップ・インターネットなど、さまざまな場所で手に入ります。無料でダウンロードできるテンプレートもあります。「どれを選べばいいか分からない」という方のために、選ぶポイントをまとめました。
- 書きやすさ——記入欄が大きく、何を書けばいいか説明がある市販品は初心者に向いている
- 項目の充実度——医療・介護・財産・葬儀など、幅広い項目がカバーされているものを選ぶと安心
- サイズ——A4は記入しやすいが保管場所を取る。B5やA5は持ち運びに便利
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まとめ
エンディングノートは「死の準備」ではなく、「家族への愛情表現」です。完璧に書けなくてもいい。書こうと思った気持ちが、すでに家族への贈り物になっています。
そして、親にエンディングノートを書いてほしいと思っているなら、まず自分が書き始めてみるのが一番の近道です。「私も書いてるよ」と伝えるだけで、親が動きやすくなることがあります。
📌 この記事のまとめ
①エンディングノートは法的効力はないが、家族に気持ちと情報を伝えるための大切な記録
②書く内容は基本情報・医療の希望・財産・葬儀・メッセージ・ペットの6項目
③全部埋めなくていい。まず口座・保険の場所だけでも書いてみる
④鉛筆でOK・何度でも書き直せる・家族と一緒に書くのもいい方法
⑤親に書いてほしいなら、まず自分が書き始めることが一番の近道
家族へもしもの話を切り出す方法は親との「もしもの話」どう切り出す?、終活の全体像は親の終活チェックリスト、自分自身の備えについてはもし私が倒れたら夫は大丈夫?もあわせてご覧ください。
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