手書き遺言書(自筆証書遺言)の書き方|無効にしない5つの要件と法務局保管制度

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「遺言書って、難しそう……」「書き方を間違えたら無効になるって聞いて、怖くて手が出せない」

そんな声をよく聞きます。たしかに、自筆証書遺言は書き方のルールが決まっていて、1つでも要件を満たさないと無効になってしまいます。

でも、正しい書き方さえ知っていれば、費用ゼロ・今日からでも書けるのが手書き遺言書の良さです。

大学病院の医療相談員として、「遺言書を書いておいてほしかった」と後悔するご家族を見てきた立場から、正確にわかりやすくお伝えします。ただし、個別の内容については必ず専門家(弁護士・司法書士・行政書士)にご相談ください。


目次

手書き遺言書(自筆証書遺言)とは?

遺言書には大きく分けて「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類があります。このうち実際によく使われるのは、自筆証書遺言と公正証書遺言の2つです。

自筆証書遺言 公正証書遺言
費用 ほぼ無料 数万円〜(財産額による)
作成方法 自分で手書き 公証役場で公証人が作成
手軽さ いつでも書ける 事前予約・証人2名が必要
安全性 紛失・無効のリスクあり 法的に確実・保管も安心
検認 原則必要(法務局保管なら不要) 不要

手書き遺言書(自筆証書遺言)は費用がかからず手軽に書ける反面、書き方のルールが厳しく、不備があると無効になるリスクがあります。財産が複雑な場合や、確実に実行したい場合は公正証書遺言も検討してみてください。


無効にしないための5つの要件

自筆証書遺言が有効であるためには、民法で定められた5つの要件をすべて満たす必要があります。1つでも欠けると遺言書全体が無効になることがあります。

① 全文を自分の手で書く

本文はすべて手書きが必要です。パソコンや代筆は無効になります。ただし、財産目録(預貯金・不動産などの一覧)は2019年の法改正でパソコン作成や通帳コピーの添付が認められるようになりました。

💡 手書きが必要な部分・不要な部分
・本文(誰に何を遺すか)→ 必ず手書き
・署名・日付 → 必ず手書き
・財産目録(不動産や預金の一覧)→ PCや通帳コピー添付も可(2019年〜)

② 年月日を正確に書く

日付の書き忘れ・あいまいな表現は遺言書全体を無効にします。

📋 日付の書き方
✅ 正しい例:「2026年3月15日」「令和8年3月15日」
❌ 無効な例:「2026年3月吉日」「誕生日に」「先月」

③ 氏名を自書する

署名は戸籍上の氏名を手書きするのが確実です。ペンネームや通称でも本人特定ができれば有効とされるケースもありますが、トラブルを避けるために戸籍上の氏名を使いましょう。

④ 押印する

認印・実印どちらでも有効ですが、偽造リスクを考えると実印の使用が安心です。

💡 2026年時点では押印が必要です
現在、法改正の議論が進んでおり、将来的に押印が不要になる見通しですが、改正が施行されるまでは押印が必要です。最新情報は法務省または専門家にご確認ください。

⑤ 訂正は決められた方法で行う

書き間違えた場合、修正テープや単純な塗りつぶしは使えません。決められた方法で訂正しないと、訂正前の内容が有効になってしまうことがあります。

📋 正しい訂正方法
① 訂正したい文字に二重線を引く
② 訂正後の文字を近くに書く(削除のみの場合は書かない)
③ 訂正箇所に押印する
④ 欄外または末尾に「○行目○字を△△に訂正」と記載して署名する
※訂正が多い場合は書き直すほうが確実です


よくある「無効パターン」3選

相談の現場で聞いてきた、よくある無効パターンをご紹介します。

💡 無効になりやすいパターン
① 日付を「吉日」と書いた → 日付特定できず無効
② 一部をパソコンで作成した → 本文は全文手書きが必要
③ 押印を忘れた → 現時点では押印必須
④ 修正テープで訂正した → 正しい訂正方法が必要
⑤ 署名がない → 誰が書いたか特定できず無効

「これくらい大丈夫だろう」が命取りになるのが遺言書です。不安な場合は書き終わった後に司法書士や行政書士に確認してもらうことをおすすめします。


書いたあとの保管——法務局保管制度がおすすめ

書いた遺言書をどこに保管するかも重要です。自宅保管では紛失・偽造のリスクや、家族に見つけてもらえないリスクがあります。

2020年7月から「自筆証書遺言書保管制度」がスタートし、全国の法務局(遺言書保管所)で保管してもらえるようになりました。

📌 法務局保管制度のメリット
・紛失・偽造・改ざんの防止
・家庭裁判所での「検認」手続きが不要になる
・相続開始後、相続人が閲覧・証明書の取得が可能
・費用:1件につき3,900円程度(目安)

なお、法務局では遺言書の「形式」は確認してもらえますが、内容が法的に有効かどうかの確認は行ってもらえません。内容については専門家に相談することをおすすめします。


遺言書を書く前に整理しておくこと

いきなり遺言書を書き始めると、途中で迷ってしまうことがあります。事前に以下を整理しておくとスムーズです。

💡 事前に整理しておくこと
・自分の財産の全体像(不動産・預貯金・有価証券など)
・誰に何を遺したいか
・特定の人に多く遺したい理由(付言事項として書くと気持ちが伝わる)
・遺言執行者を誰にするか(相続手続きを実行してくれる人)

財産の整理やこれからの希望を書き留めておくなら、エンディングノートの書き方もあわせてご覧ください。


まとめ——「書いておいてよかった」と思える遺言書のために

遺言書は、自分が元気なうちに書くことが大切です。病気や認知症が進んでからでは、法的に有効な遺言書を書けなくなることがあります。

大学病院の相談窓口では、「遺言書を書いていてくれれば、こんなにもめなかったのに」というご家族の声を聞くことがあります。書くこと自体は難しくありません。正しい要件を守って、まず一枚書いてみることから始めてみてください。

📌 手書き遺言書 作成チェックリスト
□ 全文を手書きで書いた
□ 年月日を正確に書いた(「吉日」は×)
□ 氏名を自書した
□ 押印した
□ 訂正がある場合は正しい方法で行った
□ 保管場所を決めた(法務局保管も検討)
□ 内容について専門家に確認した(推奨)

内容が複雑な場合・確実に実行したい場合は、弁護士・司法書士・行政書士への相談もご検討ください。

親との「もしもの話」の切り出し方については親との「もしもの話」どう切り出す?、終活全体の準備状況を確認したい方は【無料診断】親の終活、どこまで準備できてる?もあわせてご覧ください。

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